某雑誌ではホンダのスペック3は965馬力だそうな
エンジンという内燃機を知る
F1のパワーユニットを知るためにはまずはレシプロエンジンを理解しなければ何も始まらない。
ガソリンの持つ発熱量
上記過去おいらが使っていたアブガス。
現在のF1は無鉛ガソリン(特定の添加剤使用は禁止)でなければならないが、その制限の中で燃料開発が行われていて、実際には普通車のガソリンとは異なるスペシャルガソリンを使用している。
ガソリンの持つ発熱量が約10600kcal/kg(44MJ/kg)の場合、エンジン、すなわちF1でのICEの熱効率が100%だと仮定するとICE出力は約1660psを発生できることになる。
また重要なのはオクタン価であり、特定の添加剤はしようせず、オクタン価を上げるようなスペシャルガソリンの開発は見えない影で続いている。
エンジンであるICEの特性
エンジンでガソリンの持つ熱エネルギーを動力に変換しているのが内燃機≒エンジンです。
エンジンは始動中熱損失、ポンピンロス、メカニカルロスなど様々なエネルギー損失してしまう。一般的な熱効率は30%程度。トヨタさんのアキトソンサイクルなエンジンで最大熱効率40%を達成したそうです。
アキトソンサイクルは、圧縮比より膨張比を大きくしようとする理想サイクルであり、これをバルブタイミングで行おうとすると、吸気閉じ時期を大きく遅らせて圧縮できるストローク量を大幅に減らし排気開き時期を大きく遅らせて、燃焼圧力をより多く取り出せるようにしている。
ただそんなバルブタイミングでは大きな出力を発生するのは不向きであるため、メーカーは可変バルブタイミング装置で負荷量、エンジン回転数に応じて制御を行っています。F1は可変バルブタイミング装置禁止のため部分的な理想サイクルを使うことはできない。
内燃機の熱効率が一般的な30%だとすると出力は約498ps=熱効率100%約1660ps x 0.3。
ターボエンジンの場合、過給圧上昇によるノックを防ぐため低圧縮化、点火時期遅角によって、排気バルブ、排気系周りの温度上昇が自然吸気よりはるかに高くなるため、高負荷領域の空燃比は、異常燃焼防止、排気温度を下げるために濃くしなければならなかった。そして当時のレースは有鉛OKだったので高オクタン価によって高過給圧、空燃比を薄くできていた。
現行型のV6ターボパワーユニット
過去のターボエンジンの考え方はガソリン直噴エンジンによって変わった気がします。
筒内噴射のメリットである耐ノック性の向上、そして成層燃焼的に薄い混合気でも燃焼できるような燃焼コンセプトによって大幅に圧縮比が引き上げれるようになった。
現在のF1V6PUのターボエンジンはレギュレーションによって圧縮比上限18となっているそうです。自然吸気エンジンですらこんな圧縮比ありえない。ディーゼルかっと思うぐらいの超高圧縮比ですよね。
それによってF1V6パワーユニットはアキトソンサイクル以上の熱効率を達成している。ホンダのスペック3のICE単体出力は(802ps=965馬力ーK163ps)。これを熱効率に変換すると約48%…。
めんたま飛ぶ出るぞ~っと思うほど凄い熱効率。
ただMGU-Hをフルに稼動させタービンを駆動させていた最高出力とも取れるため、レース時の出力はどの程度になるのかはこれまた別話題なのかも知れない。
MGU-Hでタービンを完全駆動した場合、排圧上昇なく過給圧を上がられるほか、タービンホイール&ハウジングのサイズ次第では一次排圧をも猛烈に下げられてしまうかも知れないので大きなメリットがあると思われる。
そんな期待の掛かるホンダのスペック3(実際ホンダではそうは呼んでないらしいけど)がアメリカGP以降、オシレーションなどの対策などなど熟成されたらどれだけ速くなっていくのか見ものの今日この頃でした。
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